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吊り足場とは?組み方の手順や注意点について解説【安全対策も紹介】
吊り足場は、足場の不安定な場所や地面から足場が組めない建物に使用されます。
地面に土台を作らない分、より安全面に配慮した組み立てが必要です。
しかし、吊足場を組み立てた経験がない方であれば「きちんとできるだろうか」「手間取って迷惑をかけるのでは…」と心配になってしまうでしょう。
そこで、本記事では、吊り足場の構造や基本的な組み立て方、安全に組み立てる際のポイントなどを解説していきます。
吊り足場の使用用途と構造は?
吊り足場とは、その名の通り施工の対象建築物から吊り下げられた足場です。
地面から足場を組むのが難しい高速道路のメンテナンスや、鉄骨組立によく使用されます。
高い所での作業がほとんどで、内容によっては数ヶ月〜数年は設置するケースも少なくありません。
そのため、より安全対策を講じた足場の設置が必要です。
吊り足場は、吊りチェーン・パイプ・金具・作業板などで構成されます。
吊り足場のメリット
吊り足場には、通常の足場にはないメリットが存在します。
作業空間が広い
吊り足場は、縦方向ではなく横方向に設置するケースが多いです。
そのため、通常の足場と比べて、移動時にパイプや支柱がありません。
よって作業空間を広く確保できます。
工期を短くできる
前述の通り、吊り足場は横方向へ展開していく足場です。
そのため、移動床を設置すれば、工期の短縮につながります。
吊り足場には細かな基準が定められている
吊り足場には、厚生労働省が定めた基準が存在します。
基準をクリアしている材料でなければ、吊り足場は設置ができません。
基準の内容はとても詳細に設定されており、ワイヤーやチェーンにまで基準があります。
吊り足場は便利な足場である一方、通常の足場よりも安全性を求められている足場です。
釣り足場を設置する際は、基準をしっかりと把握しておくとともに、安全対策を講じて設置にとりかかりましょう。
手順①準備段階
吊り足場をかける手順は「準備段階・組み立て段階・解体段階・後片付け」に分けられます。
まずは足場を設置する前の準備についてみていきましょう。
①−1.打合せ
当日の人員配置や作業手順の確認をします。
作業員に体調不良者がいないかの確認も大切です。
体調不良の作業員がいた場合、安全な行動ができない危険性がともないます。
事前にしっかりと確認しておきましょう。
そのほか、予想されるリスクを洗い出し、リスクに対する共通認識を持っておきます。
①−2.有資格者の配置
吊り下げ足場の場合、有資格者の配置が必要です。
「玉掛け技能講習修了者」「特別教育を受講した足場組立等作業主任者」などが該当します。
足場設置の進行に関わる重要な手順ですので、適切な配置を心がけましょう。
①−3.点検作業・安全対策
工具・資材・保護具などの点検をします。
点検の時点で不良品や不安な部品が見つかった場合は直ちに交換しましょう。
命に関わる可能性もあるので、入念な点検が必要です。
また、足場を設置する場所には立ち入り禁止の安全対策を講じます。
第3者が入ってしまうリスクを防ぐためです。
手順②組み立て段階
本項では、足場を組み立てる段階の手順について解説していきます。
また、組み立て前には、再度部品や工具の点検を徹底しましょう。
②−1.親綱を取り付ける
転落防止のためにスタンションを取り付けます。
スタンションの間隔は、およそ10m以内です。
はじめは何もない場所に設置するため、近くのチェーンなどに命綱をつけておくとよいでしょう。
②−2.親御パイプを取り付ける
吊りチェーンを掛け、親御パイプを取り付けます。
吊りチェーンの間隔は、およそ120cmほどです。
設置が終わったら、親御パイプを取り付けましょう。
ジョイント部分はクランプを最低2個以上使用して補強します。
②−3.ころばしパイプを取り付ける
足場を形成するためのころばしパイプを取り付けます。
ころばしパイプの間隔はおよそ90cmほどです。
施工環境によっては短くなるケースもあります。
ころばしパイプは、とても滑りやすく危険です。
すぐに親御パイプと緊結しましょう。
②−4.足場板を敷き詰める
足場板を敷き詰めます。
足場板は、段差ができないように突合せにします。
重ね合わせて設置しないよう注意しましょう。
足場の設置時は、天秤状になって事故が高確率で発生します。
作業する際は十分に注意しましょう。
②−5.朝顔パイプを取り付ける
工具などの落下を防止するため、朝顔パイプを取り付けます。
また、転落防止などの安全面にも考慮し、手すりを兼ねたパイプの設置も大切です。
必要に応じて中桟(なかさん)も取り付けましょう。
②−6.落下防止網を取り付ける
足場板と建築物の間の隙間に落下防止網を取り付けます。
継ぎ手の部分は引っ張りすぎて開かないよう注意が必要です。
紐はある程度の衝撃に耐えられるものがよいでしょう。
手順③解体段階
施工が完了したら、足場を撤去します。
第3者が入ってこないように安全対策も講じましょう。
作業員も親綱などを取り付けて安全に解体できるよう準備します。
落下防止網・朝顔・足場板・ころばしパイプ・親御パイプ・吊りチェーンの順に解体しましょう。
必要な場合は、クレーン等を利用して荷下ろしをします。
手順④後片付け
使用した工具や資材などもまとめて置いておきます。
また、釘・結束線などの材料も残っていないか確認しましょう。
まとめ終わったら、工具に不備や損傷がないか、用意した数と合っているか確認します。
最後に、解体の資材置き場に使用した範囲と、周辺を清掃して後片付けは終了です。
まとめ
吊り足場とは、地面から足場を組めない建築物に設置する足場です。
吊り橋や高速道路のメンテナンスなどに使用されます。
通常の足場と異なり、水平方向に足場を展開していくのが特徴です。
高い所での作業が多いため、より安全対策に意識を向けなければならない足場となっています。
設置する際は、準備段階から気を抜かず、作業員同士声を掛け合っていきましょう。